心看庵がボタニックガーデンに移築されて、今年で満10年になります。 来年は移築10周年を祝いたいと計画を立てています。 大体、週に最低一回は茶室でのお稽古を通して、空気を入れ替え、掃除をしていますので、現状を維持して来ました。 茶室は 使えば使ったで傷みますし、使わないで閉め切っていれば、別の意味で傷みが来ます。 日本でも,アメリカでも公園内にある茶室の管理の難しさはそこにあります。 茶室とは、お茶をそこで頂くためだけの建物です。そこの空間は神聖で、かつ楽しみを共にする者が集い、人生のひと時の大事な時間を共有する場所です。「和敬清寂」お茶の心は共に和して敬い清らかな心で泰然自若でいる事です。 初めての方も茶室に座ると母の胎内に戻る感覚を覚えると思います。 10年間の間に、不埒な考えをする者に依って、不法侵入があり、大事な稽古道具も盗まれました。 一昨年とその前に起きた火事で,一時は茶室も焼失してしまう危機にも直面しました。 幸いにも、多くの建物が焼失したにもかかわらず奇跡的に茶室は名もない消防士によって守られました。 火事の後、ネズミやリスなどの野生動物の侵入で、襖や障子、畳、木の枠まで食い荒らされる被害に悩まされましたが、なんとか彼らが侵入できないよう目張りをし、水際で食い止める事に今のところ成功しています。 今回、我々の大事な友人である日本を代表する美術骨董品の修復を手がけている、京都の墨仙堂、関地久治さんのご好意により本式の張替え様式に則り、茶室の襖として蘇る事になります。 この茶室はまだ完成品ではありません。中途半端な黒いとんがり帽子のような屋根は本来のこの茶室の屋根の形ではありません。元の形に戻すという願いを我々は持ち続けています。 茶室が日本より送られて来てから60年余、今のところに落ち着くまでの歴史を茶室は秘めているのです。 こうして、茶室としてアメリカの地で本来の使われ方をしてもらって一番喜んでいるのは茶室でしょう。 出会いとは、繋がりとは、偶然に起こるのでしょうか。私はこれらは全て必然で、起こるべくして起こっているといつも思わざるを得ません。 ですから、我々が望みを捨てない限り、屋根もきっともとの形に戻ると信じています。
心看庵へようこそ。 今日のお客様、夏休みでお母さんと一緒にお稽古に来た、エミーちゃん。 日本では幼稚園の時と小学校の1年生の時に体験学習で和の学校があったそうです。 お行儀よく、お稽古終るまでしっかり見学。「お茶って面白い」とのコメントでした。 お茶もお菓子も気に入ってくれました。 お母さんも2月からお稽古始めた新人さんですが、呑み込みが早い! この母にしてこの子あり、きっとお茶好きに育ってくれるのでは期待してしまいます。